本山修験宗白峰山 永福院

宝満山峰入り紹介

宝満山峰入り紹介

令和5年(2023年)5月14日、宝満山修験会結成以来四十度目の峰入り行が厳修されました。例年通り竈門神社本殿で出立勤行、登拝修行者へスケジュール説明、入峰の諸注意のあと、股木を持った前鬼役の山伏が先駈けを努め、一般登拝者を挟んで股木を持った後鬼役山伏が後詰めを努める中、総勢90名が山頂上宮をめざしました。

一の鳥居で入山問答、中宮跡で勤行、キャンプセンターで昼食。
いつもはお昼の休憩時に宝満山にお詳しい森弘子先生の講話を頂きますが、今回はご都合で竈門神社までしかお出でになれませんでしたので、代わりに峰中先達の私が宝満山修験道の歴史について、一般登拝者に説明しました。

午後から佛頂山心蓮上人祠をお参りし、山頂に向かう途中神職より“入峰の証”の引換券が登拝者全員に配られました。そして、山頂 宝満宮上宮参拝、満行報告の後頂上解散となりました。特に今回は下山途中、若手山伏はじめ一般登拝の希望者に藤野賢隆大先達より入山の灌頂が授けられました。

5月25日には例年通りかまど神社本殿前で採燈大護摩供が厳修され、神仏のご加護を願う大勢の参拝者が、火生三昧耶法のあと火渡りに挑みました。

宝満山修験会の結成

平成19(2007年)年4月22日竈門神社において宝満山修験会(西高辻信良会長)による宝満山修験道の先達任命式が行われました。
明治維新の神仏分離令に伴う修験道廃止令、廃仏毀釈によって散逸した宝満山修験道は、廃止後も復興の願意強く断片的ながら明治22年の春秋、昭和初期、そして大戦後も細々と峰入りが行われていました。

昭和57年宝満山開祖心蓮上人1300年祭を期して、山伏の末孫、宝満山を修行の場とする方々、宝満山が好きで心の拠りどころとされる方々によって宝満山修験会が結成され、竈門神社本殿前で採燈護摩供が厳修されたのを機会に本格的な復興を見ました。

爾来『山伏と一緒に登ろう』と市民に呼び掛け登拝修行、採燈護摩供奉納を毎年行ってきました。そして、25周年を迎えた本年、宝満山独自の先達組織化と古文献歴史考証に基づき宝満山独自の四種の鈴掛(すずかけ)を再現し、先達任命式を行いました。写真は会長の竈門神社西高辻信良宮司(太宰府天満宮宮司)より先達任命を受けたあと、記念撮影したものです。

平成19年(2007年)新緑の5月 宝満山修験会による峰入りの行と採灯護摩供が、今年は5月13日(日)峰入り、27日(日)採燈護摩供の両日厳修されました。
一般登山者を伴った登拝修行の峰入りは、例年どおり永福院信光が峰中導師を勤め、宝満山に詳しい森弘子先生の講話が昼食時の休憩時間に行われました。又、27日は竈門神社本殿で琵琶歌『竃門山』の奉納に続き、採燈護摩供がそろいの新装束で大先達本行院賢隆師が採燈師を勤め厳修しました。
琵琶歌『竃門山』は作詞小原菁々子 作曲中村旭園によるもので、昭和57年より毎年筑前琵琶奏者中村旭園さんが奏されています。

近年の峰入り記録

地震で崩壊した仏頂山の心蓮上人祠は峰入り前に神社と宝満山修験会有志の皆さんの手で復元され、例年通りの行程で登拝修行することができ、永福院信光が峰中勤行の導師を勤めました。又、採灯護摩供は採灯師 本行院住職 賢隆師により厳修され、火生三昧耶法(かしょうさんまやほう)では山伏に続いて大勢の参拝客が火渡りに挑戦しました。

竈門神社本殿前での出立勤行
上宮での勤行
キャンプセンターでの森先生の講話

明治維新後はじめての峰入り

明治二十二年 博多聖福寺仏殿前の山伏と地域住民

明治4年宝満山を下山後17年を経て、永福院住職南ノ坊51世賢俊は、修験道再興の願望強く、遠く往年の統括寺 聖護院、三井寺へ届出ると共に、所轄の県知事許可を請願し続け奔走しました。大津の三井寺長吏 大僧正山科祐玉上人の特許状や、当時の内務卿、福岡県知事安場保知の許可文書が『鎮西竈門山入峰伝記』に記されています。

維新政府が修験道廃止、廃仏毀釈を断行した時期にあっても民衆の篤い修験信仰は根強く残っており、多くの寄進者の後援を受け、困難な中 明治22年春秋の峰入りを慣行しています。入峰再興に際し、寄進1005件の内訳、春峰56名、秋峰40名の入峰者記録が残っており、宝満山の修験信仰廃止後も、民衆と深く結びついた山伏の存在がわかります。
(写真には隆盛時の宝満山修験道のなごり 市松模様の鈴掛、板笈、七つの箱笈が見られ、多くの民衆が取り囲んでいます)

その他の峰入り

昭和初期 永福院を主体とした
入峰太宰府天満宮本殿前

上記以外にも、神変大菩薩1250年ご遠忌奉賛入峰や、聖護院門跡一行による国峰修行などと、個人やグループでの登拝修行が行われました。
大錫杖を持った南ノ坊五十二世智海、五十三世信明の顔が見える。

平成15年(2003年)、14年(2002年)の峰入り、採燈護摩供の様子

宝満山入峰,採灯大護摩供(平成14年度)

<峰入り>
5月12日 「山伏と一緒に登ろう」と地域の皆さんに呼びかけてはじまった宝満山峰入りの行は、今年で21回目、大勢の一般登拝者の方々の参加がありました。宝満宮竈門神社本殿まえでの出立勤行にはじまり、一の鳥居で入山問答、法弓、法剣作法ののち登りはじめました。中宮跡で勤行し、青面金剛尊石碑まえを通る女道コースを昼食場所の座主跡(キャンプセンター)をめざしました。途中、薬師堂跡表示の後方〝南ノ坊〟跡(永福院先祖)方向を独り遥拝。
 例年、キャンプセンターでの休憩時間を利用して、宝満山にくわしい森弘子先生(宝満山歴史散歩の著者)の講話がありますが、今回、当方永福院髙橋信光が代りに山伏装束で宝満山修験道の歴史について説明をしました。
 午後、心蓮上人の墓にお参りし、上宮に向う途中《入峰之証》引換券が登拝修行参加者に渡されました。上宮社殿宝前におきまして、皆さんで無事満行を報告し、宝満山修験会の仏法興隆、登拝者の心身堅固を祈念し、山頂解散となりました。
 1日だけの短い峰入りでしたが日常生活の汚濁、喧騒をはなれ、自然のふところに分け入って困苦に耐えたことは、六波羅蜜行の体験であり、人本来の清浄な気持ちに、少しはたちかえることが出来たと言えるのではないでしょうか。
<護摩供>
5月26日10時30分 竈門神社境内で中村旭園さんの筑前琵琶奉納のあと、本行院藤野賢隆採燈師により厳修されました。

平成15年度も、例年どおり風薫る5月に峰入り、護摩供が下記のとおり行われました。5月11日(日)峰入り 9:00 竈門神社集合

本殿まえの出立勤行にはじまり、先駈けと後詰をつとめる山伏の持つ股木のあいだを歩くという説明のあと登拝行を開始しました。一の鳥居で入山問答、法弓、法剣、法螺の作法が行われ、中宮跡で勤行、女道を通り座主跡(キャンプセンター)で昼食。休憩中、入峰に同行登拝された「宝満山歴史散歩」の著者森弘子先生の講話をいただきました。午後は元宝満(仏頂山)の心蓮上人祠を供養、そのあと「入峰之証」引換え券が配られ上宮をめざしました。竈門神社上宮社殿で勤行後、原田豊隆師より25日の採灯大護摩供の案内があり山頂解散となりました。
昨年に続き永福院信光が峰中勤行の経頭をつとめ、上宮では満行を感謝し、宝満山修験会の仏法興隆と登拝者皆さんの福寿円満を祈念しました。

5月25日(日)採灯大護摩供 10:00 竈門神社本殿まえ

前々日からの護摩道場設営が整ったあと夜から小雨模様。当日の雨予報を覆し、安部玄俊師先導で山伏行列が始まりました。筑前琵琶奉納のあと、大岡重實師との山伏問答で栗林覚禅師一行の旅の山伏が迎え入れられ、道場に勢揃いします。

法弓、法剣、斧、閼伽、法螺の前作法により、諸魔を払い諸天善神が道場を守護、行者参詣者全員が破邪顕正の不動明王の剣で心身清浄となります。更に檜葉、薪、壇木、閼伽(水)はいずれも山伏が仏の世界(曼荼羅)と観ずる山から頂くものとして、宝満山の神仏に「これらを採灯に用いるためお与え下さり、願いを成就させて下さい」との祈りをこめて山より伐り出す作法として斧を振い、閼伽を汲む作法を演じます。

二本の松明が護摩壇前で組合わされ、願文持者を従えた藤野賢隆採灯師が壇前に進み願文を奉読、本座作法を開始。読経、錫杖、太鼓の響く中採灯師作法が続けられます。その作法観念は最高秘法を満じた採灯師の伝法秘密に属するところであり解説を控えます。

〝家内安全〟〝諸難消滅〟〝縁結び〟などさまざまな願い事を記した添え護摩木が焚かれ採灯師による破壇の所作で終了。場外に整列し「総礼」 直ちに火生三昧準備に入りました。修験者がシャーマンとしての資質を具え呪的神秘力を獲得したことを示す儀礼が栗林覚禅、石橋弘勝、大岡良明の三師によって修され、先ず最初に火渡り、神官、山伏がこれに続きました。更に参拝者が諸願成就を祈って灰の上を素足で歩きました。

KBC,TNCのローカルニュースで放映され、26日の西日本新聞によると訪れた参拝客およそ600人の半数が挑戦したと報じられました。

宝満山修験会が催す峰入、採灯大護摩供の一連の行事は神仏が渾然として融け合っていた往古を彷彿とさせます。伝教大師・智証大師ゆかりの山伏が、神社と提携して一連の儀式を遂行する光景に接した参拝者は、神と仏の両方からの加護を感じられたのではないでしょうか。
来年も登拝修行を試みてはいかがでしょうか。参加者には入峰之証をさしあげます。 

宝満山峰入りの紹介
千人参りと修験道
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